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だが、残念ながらこのオペラを完成させることは私にはできない。これも文学の場合と同じだった。私にとって言うことが大事だと思われたすべてが、すでに『黄金の壷』や『青い花』の中で、千倍も純粋に言われてしまっていたことに気づいた時に、文学を断念せざるを得なかった。オペラの場合もまた、何年にもわたる音楽上の予備研究と幾つかの台本の草稿を書き終え、この作品の本当の意味と中味をもう一度出来るだけ徹底的に思い浮かべてみようという段階になって突然、このオペラで成し遂げようとしていたものが、『魔笛』の中でとっくに立派に解決されていたことが分った。そこで私はこの仕事を中止し、今度はすっかり完全に本物の魔術に取り組む。芸術家になるという夢は虚妄であり、『黄金の壷』も『魔笛』も作ることが出来なかったにせよ、それでもやはり私は魔術師には生れついていた。老子や易教という東方の道を経てとうに、いわゆる現実が偶然にすぎず、変わり易いものだとはっきりと見抜くところまでは十分に到達していた。今度はこの現実を魔術の力で自分の思い通りにした。そしてそれは大いに愉快だったと言わざるを得ない。しかし同時に、白い魔術と呼ばれているあの愛らしい花園だけにいつもとどまっていたわけではなく、時には、私の中の生きた炎が私を黒魔術の側に引っ張っていくこともあったと白状せざるを得ない。