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七十を越えた年に、二つの大学から名誉博士の称号授与で表彰された後、若い娘を魔法で誘惑したかどで私は法廷に引き出される。監獄で私は絵にたずさわる許可を求める。それは容れられ、友人たちが絵の具や道具を持ってきてくれ、私は独房の壁に小さな風景を描く。もう一度私は芸術に立ち返えり、芸術家として既に過去に何度も挫折を経験したにもかかわらず、それにはいささかも妨げられずに、もう一度この極めて愛すべき杯を飲み干し、もう一度遊び戯れる子供のように目の前に小さな愛する遊戯の世界を造り出し、それで心を満たし、もう一度自分の持つ賢さや抽象概念をすべて放り出し、想像の原始的な喜びを求める 。こうして、私はもう一度絵を描き、絵の具を混ぜ、筆をひたし、もう一度うっとりとこの果てしない魔法のすべてを飲み干す。朱色の明るく陽気な響きや、黄色のたっぷりした交り気のない響きや、青の深い胸を打つ響きや、そして、遥か彼方に消え入るほどの薄い灰色にいたるまでそれらの色が混じり合う音楽を。幸せに子供のように私は自分の創造の遊戯に従事し、独房の壁に風景を描く。この風景は、私が生涯で喜びを得たほとんどすべて、川や山脈、海や雲、穫り入れをする農夫たち、その他にも私を満足させる沢山の素敵なものを含んでいる。だが、この絵の真中にはごく小さい汽車が走っている。汽車は山に向かって突き進み、虫がリンゴに食い入るように、もう頭を山の中に突っ込んでいる。機関車はもう小さいトンネルの中に走り込み、その暗い丸い穴から綿くずのような煙が出ている。